呼吸器感染症へのアプローチ(看護師版敗血症ガイドラインより)


「Around every 3rd heart beat someone dies of sepsis」心臓が3回鼓動するたびに誰かが敗血症で命を失っている。

前回は看護師版の敗血症ガイドラインを紹介しましたが、読まれた方も多いと思います。

「英語が苦手で、、」という方もおられると思うので、一部を紹介します。
ただし、これはあくまで2011年に発表されたガイドラインなので、このとおりにしなければならない!という訳ではないです。
「へぇ〜、こんな考え方あるんだ。うちではしてないし、これをした方がいいかなぁ。」と思ったら取り入れてもいいかもしれません。


(参考に)
grade 1A:エビデンスレベル高い
 ⇩
grade 2C:エビデンスレベル低い


「呼吸器感染症を防ごう!(Prevention of Respiratory Infections)」
1.重症患者は頭部挙上30〜45°以上を維持を推奨します。(grade 1B)
 保清時やシーツ交換時は頭部挙上を30°以上維持することは難しいので、10°以上は維持できるようにしましょう。

2.72時間以上呼吸器装着患者に対して、カフ上部吸引付き挿管チューブの使用を推奨します(grade1 A)

3.シルバーコーティングされた挿管チューブの使用を提案します。(grade 2A)
(銀イオンが抗菌作用をもっており、海外ではシルバーコーティングされた挿管チューブがでまわっており、VAP減少に有効とする報告がいくつかあり、提案という位置づけで紹介されている)

4.ポリエチレンのカフを使用した挿管チューブを提案します。(grade2B)
(カフ圧低下の原因は塩化ビニルの素材が原因であると考えられており、ポリエチレンを使用したカフはカフ圧低下が起こりにくいため、カフ圧低下による垂れ込みを防ぎます。これも海外で使われだしています。)

5.カフ圧は少なくとも20cmH2O以上、30cmH2O以上にならない圧で維持することを推奨します。(grade 1C)
(今や常識と思われているカフ圧20-30cmH2Oだが、意外とgradeは1Cと低め。基となっている文献は実は20年前のものなんです。)

6.加温加湿器は患者毎に、5〜7日間毎に、または臨床所見で交換することを提案する(grade 2C)

7.呼吸器回路の交換はルーチンですべきでない(患者毎の交換を除いて)。(grade 1B)

8.気管内吸引のタイミングは、気管内分泌物が見えた時や音が聞こえた時、呼吸状態が悪化した時、患者の状態変化に応じて行う事を推奨する(grade1C)

9.すべての重症患者に対して通常の口腔ケアと齲歯の評価を行うことを推奨します(grade1C)
(プラーク1gには便1gと同じくらいの菌量が存在します。齲歯はさらに菌が豊富です。術前に歯科を受診してプラークフリーにする理由も頷けますよね)

10.口腔ケアはクロルヘキシジンでの洗浄を推奨します(grade 1A)
(口腔内をキレイにするというよりは、消毒するという感覚ですね。どんなに口腔ケアの手技が下手でも、消毒剤を口の中に入れれば消毒はできるので、ある意味統一したケアができます。)


これらは主にVAPをターゲットにして記載されています。
VAPは死亡率増加に繋がりますからね。
次回のICNRは呼吸器関連なので楽しみですね。「えっ!これってそういう意味だったの?」と驚くことも多いかもしれません。

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